12 魔王覚醒

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 12ー9 邂逅  アンガスは、俺に語りかけてきた。  「新しき魔王よ。お前は、この世界に何を望む?」  「別に」  俺は、答えた。  俺は、この『アロアナード』にももとの世界である『ダルダス』にも何も望むことはなかった。  ただ、俺は、ひっそりと暮らせればそれでいい。  アンガスは、目を細めると俺をじっと見つめた。  「ならば、なぜ、私の子供たちをその支配下に置いている?」  アンガスの声に俺は、体がびりっとしびれるのがわかった。  怒気をはらんだアンガスの声に俺は、深く息を吸い込み気を整えた。  すごい神圧だ。  さすがこの世界の主神だな。  俺は、ふぅっと息を吐くとアンガスに向かい合った。  「俺は、あんたたちに害意を持たない。ただ、あんたたちが俺に害意を持つのであれば話は別だ。俺は、俺に敵対するものを許さない」  俺の言葉にアンガスが首を傾げた。  「お前は、そんな人間だったのか?」  「どういうことだ?」  俺がきくとアンガスが答えた。  「以前のお前は、この世界を自分の支配下に置き私を倒すことを望んでいたはずだが」  「ああ」  俺は、頷いた。  確かに、以前の俺、柴崎 夏樹は、そうだった。  神々を殺して、この世界の旧人類を救うこと。  それが俺の生まれてきた理由のようなものだった。  だが、それは、俺が望んだことではない。  それは、マスターであるジジイと『セフィロス』の意思だった。  かつての俺は、それに逆らえなかった。  だから、それを自分自身の望みだと思うことにしていた。  だけど。  今は、違うのだ。  「俺は、変わった。もう、他人の夢を語ることはない」  「では、もう、我々に敵対することはない、と?」  アンガスが俺に問いかけた。  俺のことを覗き込んでくる。  俺は、なんだかゾッとした。  こいつの美しいビー玉みたいな目に見つめられるとなんだか落ち着かなくなる。  俺は、深呼吸を繰り返してその神圧に耐えていた。  こんな奴と戦うつもりだったのか?  もしかして生まれ変わる前の俺は、アホだったのか?  俺は、アンガスをぎん、とにらみ返すと腹に力を入れた。  「俺と契約を結ぼうじゃないか。アンガス」  「ほう」  アンガスが口許を緩めた。  「我々がそんな話にのるとでも?」  
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