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12ー11 夢じゃない!
そうして気がつくと俺たちは、いつのまにかもといた蒔苗家の屋敷の俺が与えられた部屋に戻っていた。
全ては夢かもしれない。
俺は、布団に潜り込もうとした。
それを制したのはミミアスだった。
「夢ではないぞ、カオル」
マジですか?
起き出した俺の前に黒髪の美姫が跪く。
「お前は、知っていると思うが、私は、ナナルー。冥界の神だ。お前の守護神であり、そして、今や、お前の使役神でもある」
「あんた、なんでナナルーなんかと結縁をしてたのよ!」
ミミアスが隣からワアワアいってきた。
「こいつの力があればアイラなんか簡単に殺れたのに!」
「そんなわけないでしょ!」
アイラがミミアスの陰から顔を出してちらっとナナルーのことを見た。
「あんたを差し出すなんてお父様は、本気で魔王を取り込むおつもりのようね」
「まあ、神を殺せる唯一の存在だからね」
ラキアスがナナルーに向かって軽く手を振った。
「久しぶりだね、ナナルー」
「ほんとに」
クルトゥもナナルーに歩み寄ってくる。
「あんたは、自分の世界にこもって全然出てこない陰キャのくせに先に魔王様と結縁結んでたなんて生意気」
「ずいぶん仲良しになってるわね、カオル」
ナナルーがくすっと笑った。
「心配して損した」
「心配?」
ミミアスが問いかけた。
「なんであんたが?」
「そんなことどうでもいいでしょう」
ナナルーが立ち上がると膝を払った。
長いヒラヒラした神服の裾がふわふわと揺れるのを俺は、ぼんやりと見ていた。
ミミアスがわざとらしく大きなため息をつく。
「ほんとに。なんで男は、みんなナナルーみたいなタイプに弱いの?」
「いっておくけど、ナナルー。この魔王は、私のものだから」
アイラが不意に俺を抱き寄せた。
俺は、アイラの巨乳に顔が埋められてしまう。
「ちょ、ま・・」
俺は、苦しくって。
でも、たまらなく柔らかいアイラの胸を俺は、堪能していた。
いい匂いもするし。
「ああ!ずるい!」
クルトゥが悔しげに顔を歪めた。
「アイラばっかり!」
そのとき、部屋のドアがいきなり開かれて蒔苗姉弟が顔を出した。
「信じられない!」
蒔苗 アスナが声をあげた。
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