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1ー2 断罪します!
「新入生代表 柴崎 薫」
行事の進行を担っている中高年の女教師に名を呼ばれて俺は、壇上へと進み出る。
「新入生を代表して挨拶をさせていただくという栄誉を賜りました柴崎 薫です」
俺は、へらへら笑って挨拶を述べる。
構内が女子生徒たちのどよめきで揺らぐ。
まあ、当然の反応だな。
俺は、人造人間だ。
誰がわざわざ醜いものを造りたいと思う?
俺は、この世界の一流アイドル並みに整った顔をしている。
体もこれからこなさなくてはいけないマスターのオーダーのためにも頑強に造られているし、身長もこの世界の平均よりはかなり高い。
控えめに言っても俺は、ハンサムなのだ。
俺は、女子たちのどよめきの中、挨拶を続けた。
「これからこの学舎で3年間を過ごすであろう皆さん、共にしっかりと学び、健やかに過ごして楽しい青春の1ページを刻んでいきましょう。だが、そのためにはいくつかの問題がこの学校にはあります」
俺は、にこやかに爽やかに話続ける。
「まず、男子生徒の皆さんは佐竹先生に気をつけてください。佐竹先生は、毎日の通勤電車内において男子生徒に痴漢行為を働くことが趣味という人物です」
講堂内のざわめきが種類の違うものに変わっていくが俺は、気にすることなどない。
「それから女子生徒の皆さんは、松岡先生に気を付けましょう。松岡先生は、女子小学生と文通しながらもこの学校の校舎内の女子更衣室にカメラを仕掛けて盗撮をしています」
女子からぎゃあぎゃあという声があがる。
俺は、期待どおりの騒ぎに口許を緩めつつも話を止めない。
「そして、校長先生は、パパ活している女生徒とよろしくやっているし、教頭先生は、生徒の修学旅行費用を横領して毎日、パチンコ三昧です」
「なんだって!?教頭、本当かね?」
「いや、違います!」
教頭が慌てて俺を止めようとするのを側にいたひょうろっとしたメガネの先生が阻止する。
俺は、講堂内のざわめきをよそに笑顔で爽やかに締めくくった。
「こんな楽しい学校ですが、みなさん、ぜひよい学校生活をお送りください」
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