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1ー3 人間って!
「あんな挨拶するなんて、バカじゃないの?」
帰りの電車の中で性悪おっさんがねちねちと俺に言ってくるのを俺は、耳を日曜日にして切り抜けていた。
うん。
もちろん、あの後、大変なことになりましたよ。
いろいろと騒がしくなったというか、何人かは、警察のお世話になったみたいだしな。
まあ、俺には、まったく関係のない話だがな。
俺は、これでロリババアの俺に対する執着が失われるだろうと確信していた。
入学式でこんな問題を起こしたら、そりゃあきれて見捨てられるわな。
これでうざい高校生活も無事終了だ。
俺は、ホクホクしていた。
だが、ロリババアの奴は、笑顔で俺に告げた。
「さすが、薫くん。入学してすぐに学校の改革に手をつけるなんてすごいわ!」
はい?
俺は、キョトンとしてしまった。
何言ってはるの?
この人。
いや、性悪おっさんも呆れて言葉を失くしてるぞ?
と思ったら、性悪おっさんは急に手のひらを返したかのように腹黒そうな笑顔を浮かべた。
「いや、梓さんの言う通り!」
おっさんは、ロリババアににっこりと微笑みかける。
「さすが、私たちの息子だな。優秀なだけじゃなく正義感にも溢れている」
「でしょう!」
ロリババアがにこにこしているのをうっとりと見つめているおっさんに、俺は、宇宙の果てまでひいていた。
「でも、さすがにもう、あの学校にはいけないんじゃね?」
俺がひきつった笑いを浮かべるのを慈愛の眼差しで見つめながらロリババアがのたまわった。
「そんなわけないじゃないの。もう、薫くんは、責任感が強いんだから。大丈夫よ、私、あの学校のPTAの会長さんとお友達だから」
なんですと?
俺は、信じられない思いでロリババアを見つめていた。
あれを何事もなかったことにしようというのか、このおばはんは。
いや。
俺は、頭を振った。
そんなわけはない。
俺は、無事に計画通りに退学のはずだ。
だが。
新学期が始まってしばらく過ぎた頃。
俺は、まだ学校に通っていた。
なぜだ?
まったく、わからない。
しかも、どういうわけか、俺は、生徒会に勧誘されてしまった。
「いやぁ、君のような勇者が入学してきてくれるのを待っていたんだよ!」
七三メガネの生徒会長は、俺の手を握りしめた。
「君こそ、この学校の救世主となる人物だ!」
どういうことですか?
マジ、人間ってわけわかんねぇ!
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