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 あたしには高2の時から付き合っている彼氏がいた。  名前を宮原 和人という。付き合うきっかけになったのはあたしが彼を見ると大体、熱を出して体調を崩してしまう事からだった。  それを和人に言ったら。 『試しに俺と付き合ってみないか?』  とか言われた。  実際に和人と付き合い、親密に触れ合うようになると。体調不良は次第に無くなっていった。これには凄く驚かされたが。そんなこんなであたしや和人は交際を順調に続け、高3になっていたのだった。  高3の夏休みにあたしは和人の自宅――宮原家にて課題をやっていた。和人もあたしの隣で課題に取り組んでいる。彼の自室にてだが。クーラーがよく効いた部屋なので涼しい。 「……ねえ。あたし達が付き合い出してからもう1年が過ぎたね」 「本当だな。加奈とお付き合いを始めてからそれくらいは経つな」 「あの。もしよかったら。課題が終わったらね。デートをしたいんだけど」  思いきって言うと。和人は目を開いて固まった。 「……え。デートか。そうだな」 「今は丁度、夏休みだし。お祭りとか花火大会とかあるじゃない。一緒に行こうよ」 「うーむ。わかった。確か、母さんが来週の土曜日に花火大会が近所であるって言ってたな。その日ならいいぞ」  あたしはやったと小さくガッツポーズをした。和人がそれを見て「可愛げがないぞ」と言ってきたが。スルーしたのだった。  あれから、自宅に戻った。  早速、母さんに相談をする。 「ねえ。母さん。ちょっと聞いてほしい事があるの」 「どうしたの?」 「うん。実はね。来週の土曜日に和人――彼氏の宮原君と一緒に花火大会に行こうって話になって。それで何を着ていこうか迷っているんだよね」  正直に言ったら母さんは微笑ましい物を見るような表情になる。にっこりと笑った。 「あらあら。宮原君とねえ。加奈はどんなのを着ていくか悩んでいるの。そうねえ」 「何かいい案とかない?」 「……なら。和風に浴衣とかどうかしら。ワンピースでもいいだろうけど」 「浴衣かあ。最近は着ていなかったな」 「そうね。確か、手直しさえすれば。今の加奈でも着られるはずよ」  母さんが浴衣を勧めてくれたのであたしは久しぶりに袖を通してみようと思う。夕食の時間になるまで浴衣の事で相談を続けたのだった。
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