8人が本棚に入れています
本棚に追加
妹の言葉に、隣でやりとりを聞いていたお姉さんがグイッと詰め寄る。
「か、関係なくはないわ! 私も弟の初デートが気になって後つけてたけど、二人ともスマホばっかりいじってて、端から見ててすっごくドキドキしてたのよ!?」
え、お姉さんもオレと同じことしてたの?
ていうか弟さん初デートだったの!?
こんなにイケメンなのに……。
「………」
つーか、妹!
ここにきてコミュ症発揮ですか!?
すると今度は弟くんが食って掛かる。
「姉ちゃんはすっこんでてよ! てか、弟のデートについてくるって、どんな神経してんだよ!」
「お、おい! すっこんでろは酷いと思うぞ? お姉さん、君のことを心配して見に来てたんだろ? 弟思いのいいお姉さんじゃないか」
「………」
「………」
「………」
ってー!
オレは無視ですかー!?
「ふふ、ごめんなさい。この子、すごく恥ずかしがり屋で。家族以外の方とは口きかないんです」
「え?」
「私とは普通に話せるんですけど……。コミュ症っていうんですか? そういうので」
コミュ症?
このさわやかイケメンもコミュ症?
もしかしてこの女性(ひと)、オレと同じ立場の人?
「とにかく、帰ってくれ! デートの邪魔」
「お兄ちゃんも帰って。せっかくの初デートが台無し」
ま、まあ、確かに。
二人がどう付き合おうがオレたちにはまったく関係ないことで。
スマホ同士の会話が気になって思わず声をかけてしまったけれど、邪魔だと思ったのならそうなんだろう。
だとすれば部外者は退散すべきだ。
最初のコメントを投稿しよう!