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「……す、すまなかったな。お前のことが心配で、後つけたりして。会話がないから気になって思わず声をかけてしまった」
オレは妹の頭に手をやって心から謝った。
「にしても彼氏、いい声してるじゃないか。生の声で会話したほうが、もっと楽しいと思うぞ? まあ、お前の勝手だけどな」
「……もん」
「ん?」
「私だって……今、初めて声聴いたんだもん」
………。
……マジかッッッ!?
え、なにそのトンデモ発言。
もしかして妹、声も聴いたことない相手と付き合ってたの!?
我が妹ながら、ちょっと引くんですけど……。
「オレも、初めてこいつの声聴いた」
人の妹指差して「こいつ」呼ばわりすな。
そしてなぜオレにじゃなく、姉に言う。
「へ、へえ……」
ほら、ドン引きしてるじゃない!
お姉さん、めっちゃドン引きしてるじゃない!
そりゃそうだよ。
声も聴いたことのない相手と恋人になるなんて、前代未聞だわ!
「ねえ、お兄さん。ちょっと」
お姉さんがそう言ってオレを引っ張ると、耳元に口を近づけた。
ふおおおお、ち、近い!
妹がどうこう以前に、オレもまだ彼女歴ゼロなんですけど!
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