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手ほどき
「はぁ!?」
「蒼汰さん!?」
私と黄太郎くんがほぼ同時に叫ぶ。
それはそうだ。目の前の男は、さらっととんでもないことを言ったのだから。
「慣れてないんだろ? なら練習は必要だろ」
「確かにそうだけど!」
「下手な奴らより俺がやった方がタメになるぞ」
「それも分かるけど……!」
契約恋人をしていたときも思ったけど、東海林は確定で女慣れしている。
だから、そういうのも私なんかよりも全然場数を踏んでいることも分かる。
分かるのだが……。
なんかモヤッとするのはなぜだろうか。
表情に出たのだろうか、東海林の口の端が嬉しそうに上がる。
「なんだ、嫉妬したのか?」
「はぁ!?」
「安心しろ。お前に惚れてからは、後にも先にもお前しか抱かないから」
「そういう話じゃ……」
なんか慰められた。解せぬ。
「それで、どうするんだ?」
ニヤリとする目の前の男がムカつく。
だからだろうか、久々に対抗心がむくむくと湧き上がってきた。
「やってやろうじゃない!」
言ってから気付く。
しまった、ノセられた、と。
「そんじゃ、今日からやるか」
「えっ!? 今日!?」
「善は急げっていうだろ」
「言いたいことは分かるけど」
「ほら、用意してこいよ。それとも用意から手ほどきしてやろうか?」
「それくらい出来るわよ!」
次の日、久々の行為に腰が悲鳴を上げ、動くのが大変だったのが言うまでもない。
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