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恋になっていく
「あ゛?」
何だ、この痛み。
確実に風邪を引いた、いや、恐らくインフルエンザだ、この関節痛。それに、
ピピピピッピ
体温計の音が鳴り、寝たままで目の前に持って来る。
「38度8分?」
マジか、動けねー。柊木の飯、作らなきゃだけどよ、鉛の鎧を着せられたような倦怠感、ゴメン柊木。身体がシンド過ぎて眠れねー、声も出ねー。感染るからな、来るなよ柊木。
コンコン、と扉をノックする音の後すぐに、
「津々理?」
扉を開けた。やっぱ来たか。
「柊木、こっちに来るな」
やっとのことで声を出した。
「津々理っ!!どうしたんだ!具合が悪いのか!死にそうだぞ!津々理!」
いやいや、うるせーわ。頭に響く、ちょっと黙れ。
「風邪を引いた、いや多分インフルエンザだ。近くに来るな、感染るから」
オレの声で一瞬止まったが、すぐに傍に来た。
「死なないでくれ!」
そう言いながら、オレの胸にしがみつく。
オマエがオレを殺しそうだわ。
「津々理っ!俺はどうしたらいい?」
とりあえず居なくなれ、と思ったが可哀想でそうは言えず、
「感染るからな、離れろ」
極力落ち着いた声で言ったが、柊木は半泣きしている。
「津々理が死んでしまったら、死んでしまったら俺はどうしたらいいんだ」
オレ、死ぬの?
ちょっとそう思えてきた。
「あと多分、二日位はシンドイと思うけど大丈夫だから。ああ、解熱鎮痛剤、スゲーヤツ、ドラッグストアで買って来てくれるか?」
解熱鎮痛剤で何とか数日乗り切るしかねーな、と思い柊木に頼むと「分かった!」と、ダッシュでドタンバタンしながら家を出て行く。
ちょっと、うるせ〜な。
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