恋になっていく

1/4
前へ
/47ページ
次へ

恋になっていく

「あ゛?」  何だ、この痛み。  確実に風邪を引いた、いや、恐らくインフルエンザだ、この関節痛。それに、  ピピピピッピ   体温計の音が鳴り、寝たままで目の前に持って来る。 「38度8分?」  マジか、動けねー。柊木の飯、作らなきゃだけどよ、鉛の鎧を着せられたような倦怠感、ゴメン柊木。身体がシンド過ぎて眠れねー、声も出ねー。感染(うつ)るからな、来るなよ柊木。  コンコン、と扉をノックする音の後すぐに、 「津々理?」  扉を開けた。やっぱ来たか。 「柊木、こっちに来るな」  やっとのことで声を出した。 「津々理っ!!どうしたんだ!具合が悪いのか!死にそうだぞ!津々理!」    いやいや、うるせーわ。頭に響く、ちょっと黙れ。 「風邪を引いた、いや多分インフルエンザだ。近くに来るな、感染るから」  オレの声で一瞬止まったが、すぐに傍に来た。 「死なないでくれ!」  そう言いながら、オレの胸にしがみつく。  オマエがオレを殺しそうだわ。 「津々理っ!俺はどうしたらいい?」  とりあえず居なくなれ、と思ったが可哀想でそうは言えず、 「感染るからな、離れろ」  極力落ち着いた声で言ったが、柊木は半泣きしている。 「津々理が死んでしまったら、死んでしまったら俺はどうしたらいいんだ」  オレ、死ぬの?  ちょっとそう思えてきた。 「あと多分、二日位はシンドイと思うけど大丈夫だから。ああ、解熱鎮痛剤、スゲーヤツ、ドラッグストアで買って来てくれるか?」  解熱鎮痛剤で何とか数日乗り切るしかねーな、と思い柊木に頼むと「分かった!」と、ダッシュでドタンバタンしながら家を出て行く。  ちょっと、うるせ〜な。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

922人が本棚に入れています
本棚に追加