恋になっていく

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 買い物から戻ると、水と薬を持って来てくれた。普段何もしねぇ奴が、水と薬を持って来ただけで、エライ大仕事をしたみたいに思われるの、何かオマエ得してね?   熱に冒されてながらも、ぼーっとした頭でそう思う。 「ここに置いておくからな、口に出来る時に口するように!」  エナジーゼリー、水、スポーツドリンク、ひと通り揃っている。とりあえず助かる。  薬が効いて楽になったのか、オレは少し眠りについた。  次に目を覚ました時、目の前に柊木がいたのでビックリした。 「オマエ!仕事は!?」 「今日は休みを貰った。津々理が心配で仕事など出来ない!」  ずっとここにいたのか?べそ掻きそうな顔しやがって、オマエが傍にいたところでインフルエンザは治らねーよ、と思ったが流石にそれは言えねぇな。 「今はこんなだけど、明後日位には元気な顔見せられるから大丈夫だ。今からでも仕事行けや」  一瞬眉を顰めた柊木だったが、 「そうか、明後日には元気な津々理に会えるんだな!」 と言って迎えの車を呼んでいた。  コイツはもの凄い天然のくせに、大事なところでの、空気を読む力量は天才的だと常々思っていた。  それでも後ろ髪を引かれる様にオレを見て、「行ってくる」と寂しそうに言うもんだから、オレは右手を軽く手を振り、投げキッスをしてやった。  柊木は、一瞬にして満面の笑顔になり仕事へ出掛ける。    可愛いヤツ、そう思った。
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