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「シュウさん!」
松本が素っ頓狂な声を出して立ち上がった。
「ああ、レオのお客様の松本君だね」
「僕の名前を知っているのですか!?」
「当然だよ」
そう言って、目ヂカラホストはニコリと笑い、松本は倒れそうになっている。
そんな目ヂカラホストと松本の会話を、口をあんぐり開けて見ているオレ、周りからさぞかし阿呆に見えてんだろうなぁと思った。いや、阿呆はお前らだ、何を見せられているんだ、オレは。
我に返る。
「権兵衛くん」
目ヂカラホストが何やら言ってる。
あ?ああ、オレの事か。
「はい?」
とりあえず応えた。
「君は、とても綺麗な顔をしているね、羨ましいよ」
目ヂカラホストは、優しく微笑みながら舐めるような視線でオレの顔を眺めた。
アンタも相当綺麗だけどな、心の中で呟きながらも、当たり前だ、オレは滅茶モテんだよ、と余裕の視線を送ってみせる。
それにしても、恐ろしく端正な顔立ちをしてんな。今まで会ってきた人間の中で一番(女も含む、だ)だなコイツ、と思い、横目でチラリと見ると、まだオレを凝視していたので、少し怖くなって鳥肌が立った。
「あざーす」
めんどくせぇーから、頭を下げてこのひと言で終えようと思ったが、目ヂカラホストはまだジッとオレを見ている。
「俺は『シュウ』、どうぞご贔屓に」
名刺をオレの前に置くと、周りの皆が揃って驚き、口を押さえてオレを見る。
今度は何ぃ〜?
もう、嫌だと思った。
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