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柊木のつむじにキスをする。
「身体、シンドくないか?大丈夫か?」
黙って柊木は小さく頷いた。
抱かれていた時の柊木は、今まで抱いた女の誰よりも可愛く綺麗で、完全にオレを魅了した。
男を抱いた事がないから、あれで合っていたのかと疑問に思ったが、疲れたのかスヤスヤと安心した様にオレの胸の中で眠りに落ちた柊木の顔を見て、間違ってはいなかったんだろう、な、とそう思えた。
そうだ、とオレは思い立つ。
静かにベッドから出て、柊木に布団を掛け直すと自分の部屋に戻る。柊木の為に描きあげた絵を手に取った。
約束した絵を柊木に贈ろうと思い、簡単な包み紙を買うために外へ出掛ける。
絵は小さく、サイズにしてB5より気持ち小さい位の大きさで、花束の絵が気に入っていた様なので、一輪の花の絵を描いてみた。
雑貨屋で包み紙を探すと、結構色々あるもんだなと決め兼ねて、悩んでいる自分が何だか笑えた。
アイツの為にな、オレがな。
漸く決めて家に戻ると、柊木が服に着替えている。
「なんだ?柊木、どっか行くのか?まだ止めておいた方がいいんじゃねー」
身体を心配してそう言うと、柊木は顔をクシャクシャにして泣き始めて、オレの胸にしがみついてきた。
「津々理がっ!津々理が何処かに行ってしまったのだと思った!あんな事をして後悔しているのかと思って!探しに行こうとしていた!」
胸でギャンギャン泣く。
堪らず、柊木の頭に手を当て、撫でながら頬を擦り寄せた。
「オレは何処にも行かねぇよ。ずっとオマエの傍にいる。約束する」
オレの事、愛して止まねーな、オマエ。
自然と笑みがこぼれた。
柊木は落ち着いた後、黙って出掛けたオレに拗ねてしまい、ご機嫌取ろうとキスをしようとしたが顔を背ける。
黙ってオレはそのまま動かずいると、チラリと見てキスをしてきた。
コイツ、全部計算してるのか?
可愛いすぎるだろ。
あー、マジかオレ。
幸せな気分でニヤけちまった。
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