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ちょうど顔を上げた状態の菫の前髪を少しあげ、飛雅は純恋式通りキスをした。
あれだけ恋愛的に好きだと伝えることにはキョドっていた飛雅は、自分でもできたことに驚いていた。
唇を離したとき、菫のキョトンとした顔が飛雅の目にもろに入ってきた。
飛雅は一気に恥ずかしくなり、顔が熱くなる。
菫は赤くなる飛雅の顔を見て、自分がされたことの実感が一気に押し寄せて来た。
お互いが赤面し合うなんとも気まづい空気だ。
「…………は、離して、、」
「!!わ、悪い!」
慌てて菫から離れる飛雅。
更に気まずい。
飛雅は自分がしておいて恥ずかしくなり、菫は未だに何が起こったのかわかっていなかった。
飛雅はもう後戻りは出来ないと理解した。
意を決した飛雅は、菫の繊細な手を取る。
「俺は、その、さっき、友達になりたいって言ったけど、本当は、恋愛的な意味で好きなんだ。君が俺を認識する前から、ずっと。」
「!?それって、自分がトップ(?)になる前から。」
「よければ友達から、始めてくれませんか?」
「ト、トモダチ……。」
もしかしたら、高校初めての友達が出来るかもしれない。
下っ端や、舎弟なんかでは無く、対等なトモダチが出来るかもしれない。
菫は、断る理由なんてなかった。
でも、相手は自分のことを恋愛対象としてみている。
そこだけが引っかかる。
自分はその気持ちに答えられない。
(リアルでの恋愛は無理なんだ。)
菫は、考えていた。
その気持ちを見抜いてか、飛雅は怯えさせないようにできるだけ笑顔で言おうと、伝えようとした。
「俺と友達になってくれたなら、君が喧嘩をしたことがないってバレても、いじめられることはない。俺が守ってやる。」
「お願いします。」
即決だった。
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