キミの記憶

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私は余命半年の夫を持つ妻です。 夫の職業は、宇宙パイロットで世界を飛び回っています。 そして今世界が終わろうとしている所です 余命半年の夫が今世界のために空へ旅立とうとしている所です、連日テレビでは夫の名前が報道されています。本人は世界を救うヒーローになって歴史に名を残すのが夢だとよく語っていました。 無事に名を残せそうで安心しました本人の意志をなるべく尊重したいのですが、やっぱり最愛の人が世界を救うためとはいえ亡くなるのは非常に悲しいです。まだ子どもも小さいのに家族との思い出をあまり作れないまま終わるだなんで嫌です。そんなことを言うのはわがままだとわかっているのですが 生きて帰ってきて欲しい。 亡くなる確率はほぼ100%と言われていますが私は夫の帰りを待ちます、そして病気の治療をして長生きしてもらいます。 夫が「最後の挨拶になるな」と言ったので 「そんなわけないじゃない!絶対にあなたは帰るの!」と力強くいったら夫も前向きになったのか、いつも通りに 「いってきまーす」 と高らかに宣言した本当は涙が止まらなかった帰って来るってこっちが信じなくっちゃいけないから、そんな保証どこにも無いのに後は神頼みしか残っていなかった。 幼い息子二人にガラスの外の宇宙を見せた、何も考えられないくらい綺麗な場所だった、夫の仕事場は基本一般人立ち入り禁止なので初めて夫の仕事場を見る、正直こんな形では見たくなかったと思いながらも夫の無事を祈るしか無かった。 夫がコックピットから出てきた、私は機械が分からないので夫が何に乗っているのかも分からない。けど確実に言えるのは今の夫は世界の誰よりもかっこいい。 メラメラと燃えている惑星のような隕石のようなものが夫の機械を襲う、私は一生懸命頑張る夫と不安そうに夫を見つめる息子達を見守るしか無かった。 すると横に夫の同期の方がやって来て私に話しかけてきた、そして夫の職場での雰囲気や仕事っぷりを話してくれた、正直今じゃないだろうと思ったが今考えれば彼なりに私の精神的負担を軽減しようとしてくれたのかもしれない。 正直ここからの記憶は曖昧で何も覚えてない 燃えている惑星のような隕石のようなものが夫を襲う、最初は耐えていたらしいけど徐々に破損して艦内がざわつき始めた、私たち家族はガラスの窓にへばりついて夫に声を送る 「あなたは絶対にここへ帰ってくるのよ!」 「こんな所で終わるなんて許さない!」 「おとうさんこっちだよ?」 「な"んでな"のよーーーーー」 号泣し泣き崩れるしか無かった 私の夫は亡くなった彼の理想の亡くなり方で 世界を救った永久のヒーローとして生涯語り継がれる事だろう。今世界で最も注目を浴びている。 夫の選択した道を私は応援すると誓ったので最期は生前言っていた言葉で見送ることにする。 「今貴方が一番かっこいいですよー」
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