序章

2/3
前へ
/5ページ
次へ
そんなことを考えながらも私は教室に足を踏み入れた。 「かぇちゃん!おはよー」 桐谷(きりたに)(かなで)通称かぇちゃんは、いつも私よりも学校に来るのが早い。 かぇちゃんは吹奏楽部所属で、一年のときに吹奏楽部の見学に行ったときに一度話したことがあるけど、今年同じクラスになってから仲良くなった。 同じクラスになったときは、かぇちゃんはすごく私と同類な気がして話しやすかった。 そんなかぇちゃんが最初にかけてくれた言葉は、 「このクラス全然友達いないんだよね。」 かぇちゃんも私と同じ思いをしていたのだと思うと安心した。 「ゆり、今日体育あったよね?」 不意にかぇちゃんが言い出して私は答えた。 「え?ないよ?多分保健に変わったと思う。」 「まじで?!えーもう、体操服着てきたんだけど」 「えー、どんまい。あとでトイレいって着替える?」 「うん。そうする。」 かぇちゃんは、しっかりしてそうで忘れ物とか間違いとか多い。―まぁ忘れ物に関しては私ほどではないけど…― 「でも今日もまなちゃんおそいねー」 言われてみればまなちゃんはいつも5分前か10分前とかギリギリに来る。私とかぇちゃんは20分前か、30分前に来るのに…。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加