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 何やら嫌な予感はしていた。  杉崎があれだけ無残に殺されていたのだ。  ミカコが常軌を逸した行動に出ることは予測がついていた。  けれど、けれどまさか。  杉崎の身体をバラバラに解体し、101号室に置いている大きめの冷凍庫に投げ込んだ後、要二朗は知らない携帯から送られたメール映像に息を飲んだ。  麻衣美が拉致、暴行されていた。  しかも、それは自分のマンションのベッドの上だった。  麻衣美は前髪を鷲掴みにされ、半身をのけ反らせて悲鳴を上げていた。  鼻血でぐしょぐしょの顔が、恐怖で更に歪み、助けを乞うている。  映像の最後には麻衣美の頭上に赤いガラス瓶が叩き落とされていた。 「な……っ!なんだこれは!麻衣美?麻衣美かっ……?」  見た瞬間に、発狂しそうになった。  誰よりも大切な自分の花嫁が、命の危機に遭っている。 「待て……どうする、どうする……」  顎に手を当て、ぐるぐると歩き回り、自問自答し、やるべきことを探る。  送信元の携帯の番号は、得意先のセレブな顧客の一人だった。  その男は中年で、金持ちだがただの性欲バカな豚だ。  そいつがこんなことをするはずがない。
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