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「良い香りだろう?これはクラリセージ。とても女性的な香りで、エストロゲン作用があるんだ。心と体も緩める作用もある……喜びを湧き立たせ、特別な陶酔感を感じさせる香りでもある………人の身体でいうところの、第二チャクラ、第四チャクラと深い繋がりがあると言われていてね……それが、ここだよ」
要二朗の右手が麻衣美のお臍の下を、左手が胸の谷間の心臓部分に押し当てられる。
「第二チャクラのテーマは『生きることのよろこび』、第四チャクラのテーマは『無条件の愛』だ。君は僕の手の内にあって、その両方を受け取ることが出来るんだよ」
「あ……で、でも、私、は……っ」
背後から包み込まれ、首元に愛撫されるともう逃げられないような錯覚に襲われる。
宝物を愛でるような扱いは女子ならば誰でも喜ぶべきものだった。
けれど、麻衣美の脳裏には別の人の顔が浮かんでいた。
ようやく昨日両想いになれて、愛の言葉を囁き、睦み合った人……。
逃げるつもりだった。
もうここには戻らないはずだった。
有希先輩と、輝かしい未来を作るはずだった。
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