61人が本棚に入れています
本棚に追加
これはレイプのようなものなんだから、正当防衛で、でも。
全身を撫でる優しい指が、手のひらが、その愛の深さを語っている。
いっそのこともっと乱暴に、暴力的に襲われたならもっと抵抗しやすいのに。
優しいから、大切にしてくれているのが分かるから、抗いにくい。
数分経ってもやまないキスは、一途な愛を象徴しているように思えた。
「愛してる……愛してる、麻衣美。良かった……僕のところに戻って来てくれた……良かった、本当に良かった……」
戻りたくて戻って来た訳じゃない。
だけど……。
この人は私のために、確かに人生を捧げている気がする。
私を手に入れるためには手段を厭わず、何でもやる。
心地良いセックスとなるよう、細心の注意を払って、心を尽くしてくれている。
それが、分かるから。
麻衣美の目の縁からポロポロと零れた涙に驚き、要二朗はキスを止めた。
真珠のような丸い涙は、困ったように伏せた赤い目から流れ落ちている。
「どうした?麻衣美………」
「……なんで要二朗さん、私をこんなに愛してくれるんですか?」
最初のコメントを投稿しよう!