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「え、い、いや……そんなことは。私にだって欲はありますよ?人を蹴落とそうとかはさすがに思わないですけど、私にだって、いろいろ欲とか、汚い部分はあります。そんな、要二朗さんが美化してるほど、私は綺麗な人間じゃない」 「麻衣美の欲って、例えば」 「え?ええ――――っと……た、例えば?ん―――と、仕事帰りに旬のフルーツを食べたいなあとか、仕事帰りに人気のアパレルショップ覗いてこうかなあ、とか」 「それが欲?」 「えっ!?あ、違う?え、じゃ、欲って。あ、そっか。欲ってなんだっけ、あ、三大欲求とかありますね。えっと、何だっけ。食欲と睡眠欲とあと」 「性欲」  ザパッと水面がうねると同時に、要二朗の身体が翻り、麻衣美が湯船の中で下になる形になった。  両肩を掴まれた麻衣美の唇が、一瞬のうちに再び奪われる。  キスされている間に股間を広げられようとしたが、そこは膝頭をくっ付け、ふんばって阻止した。 「だ……っダメです!」 「なんで」
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