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「いやでも、でもですよ?その、お、お母さんだって、要二朗さんをちゃんと愛してくれていたんでしょう?」 「いいや、そう思っていたけれど違ったんだ。だって僕がいない間に男を連れ込んでいたんだよ?そんなのはアバズレが、娼婦がすることだ……」 「で、でも、お母さんだって女なんだし、そーゆう気持ちになることだって」 「僕と住んでいる以上、他の男に目移りすることは許されない」 「そんな!息子と恋人じゃ全然…………裏切るつもりなんか、なかったと思うんだけどなあ」 「………えっ」 「だってそうでしょう。こそこそ逢ってたのは、要二朗さんを傷つけたくなかったからだと思いますよ」 「…………」  まるで小さな子供のようだ、と思った。  親だって人間なのに、完全な人間でなんてあるはずもないのに。  一つのパーツが壊れたら、お気に入りのロボットでも簡単に捨ててしまう子供のよう。  理想の姿でないと分かった瞬間に、酷く幻滅してしまったのだろう。  それは愚かで、浅はかで、けれどどこか、同情できることのようにも思えた。 「だって、要二朗さんの名前の『要』って、必要の『要』でしょう?生まれて来てくれて良かったって、感謝の気持ちがたくさん入ってる名前な気がします」
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