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「やめて、やめて下さい。要二朗さん!これ、ミカコさんですよね?なぜ、なぜこんな、こんなこと。いくら私に暴行したからって、そんな、ここまで」 「………舐めた真似をしくさってくれたからね。お仕置きだよ。僕は僕を愚弄した人間を許さない。こいつは僕を陥れようとした。だからいいんだ。こうなって然るべきなんだ。こいつは僕を管理しようと目論んだ。けれどそんな愚かな罠に引っ掛かる僕ではない……いいんだ。麻衣美、いいから。見せつけてやるんだ、こいつに。僕と麻衣美を引き離そうと嫉妬に燃えたバカ女に、真実の愛を見せつけてやる………」 「そ、そんな………うっ」  先程まで、風呂場までは要二朗はまだ理性的だった。  狂気を潜ませていたとしても、まだ会話が出来る状況だった。  けれど今は、もう何の声も、彼の耳には響かない。  あの時。  要二朗は失神している麻衣美を脇に置いたまま、まず麻酔銃で動けなくなったミカコを拘束し、血祭りに上げた。  その後で自身の血まみれの服を脱ぎ棄てて麻衣美を抱き上げ、バスルームに向かったのだ。  恐怖で畏縮した身体はどんなアロマを使っても弛緩など出来なかった。  要二朗が媚薬の香を焚いていたが、そんなものでは今のこの状況は緩和しない。
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