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 瞬きせずに睨んでくるミカコの目の前で睦み合うなど、見せつけるなど、正気の沙汰ではなかった。  どんなに愛撫が続いても、肌の、筋肉の硬直は解けない。  どれほど麻衣美の陰部を弄び、膣に指を挿し込み突いても、それは全く濡れることはない。  これでは自分のものを入れられず、求めていた快感を得られないことに、要二朗は少しずつ苛立ちを見せ始めた。 「……力を抜いて、麻衣美」 「む、無理です……こんなとこでは、私、絶対」 「いいから、やるんだ」 「無理、です……っ」  殆ど涙声だった。  あまり良く分からない人とはいえ、先程まで喋っていた女の人が、自分を暴行したからとこんな目に遭ってしまっているのだ。  自分のせいではないとはいえ、自分のために要二朗がやったことなら、責任が全くないとは言えない。 「………でも、やるんだ……」  ベッド脇の祭壇のガラス小瓶を持ち上げると、要二朗はそこからアロマオイルを麻衣美の全身にぶちまけた。胸や股間といった凹凸のある箇所に隈なく流れ込むと、ベッドの敷布へと染み込んで行く。  オリエンタルな甘い花の香りは、ミカコが放つ死臭と相まって、独特の香りに進化した。  くらくらするほど脳に浸透する、まるで劇物だ。
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