4-10

1/5
前へ
/335ページ
次へ

4-10

「大丈夫?麻衣美!」  肩で息をしながら、有希がベッドの上に飛び乗ってくる。  手にしていた木材を放り投げると、麻衣美の半身を持ち上げた。 「ゆ……有希先ぱぁい………」  泣いている暇などないことは分かっているのに、涙が迸り出てしまう。  自分が素っ裸なのも忘れて、麻衣美は有希の胸によろよろと飛び込んだ。 「も……っ、もおダメかと……私、もぉ………」 「ホントに酷い目に遭わされたわね………これはミカコね。だいたいのことは分かってる。今、ヤツの意識がぶっ飛んでる間に早く逃げましょ」 「あ、は、はいぃ……」  ベッド脇で伸びている要二朗をそのままに、とりあえず麻衣美の身体に巻く物を探す。  衣類が見当たらないことから、有希はカーテンを引っぺがし、麻衣美の身体を包み込んだ。  要二朗の意識が戻る前に、早く。  そう思うのに、身体が思うように動かせない。  先程の挿入で腰を数回振られて、その瞬間に背骨が大きく撓った。  バキボキと不快な音が耳に響いて、口の中に僅かに血の味が広がった。  だからだろうか、ベッドから降りるどころか、腰を上げることも、立つことも容易に出来ない。 「しっかりして、麻衣美!」 「ごめんなさい、歩けない……」 「分かったわ。じゃあアタシが担いでいく」
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加