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4-10
「大丈夫?麻衣美!」
肩で息をしながら、有希がベッドの上に飛び乗ってくる。
手にしていた木材を放り投げると、麻衣美の半身を持ち上げた。
「ゆ……有希先ぱぁい………」
泣いている暇などないことは分かっているのに、涙が迸り出てしまう。
自分が素っ裸なのも忘れて、麻衣美は有希の胸によろよろと飛び込んだ。
「も……っ、もおダメかと……私、もぉ………」
「ホントに酷い目に遭わされたわね………これはミカコね。だいたいのことは分かってる。今、ヤツの意識がぶっ飛んでる間に早く逃げましょ」
「あ、は、はいぃ……」
ベッド脇で伸びている要二朗をそのままに、とりあえず麻衣美の身体に巻く物を探す。
衣類が見当たらないことから、有希はカーテンを引っぺがし、麻衣美の身体を包み込んだ。
要二朗の意識が戻る前に、早く。
そう思うのに、身体が思うように動かせない。
先程の挿入で腰を数回振られて、その瞬間に背骨が大きく撓った。
バキボキと不快な音が耳に響いて、口の中に僅かに血の味が広がった。
だからだろうか、ベッドから降りるどころか、腰を上げることも、立つことも容易に出来ない。
「しっかりして、麻衣美!」
「ごめんなさい、歩けない……」
「分かったわ。じゃあアタシが担いでいく」
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