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「え?あ、ありがとうございま……うぅっ!」  背中を丸くすると激痛が走る。  お姫様抱っこは嬉しいのだが、丸まった体勢を取るのが辛い。 「少しの我慢よ。ちょっとだけ」 「はい、我慢しま……あっ」  有希の背後に何かがぬっと立ち上がった。  と、思った瞬間に有希はベッド下、後方に吹き飛ばされた。 「有希先輩!!」 「……どいつもこいつも、僕の聖域に簡単に踏み込んできやがって……いったいなんでこんなことになってるんだ」  現れたのは、右耳から血を流した要二朗だった。  愕然とする麻衣美の前に、要二朗は近づき、右手で頭を撫でながらにっこりと微笑む。 「とんだ邪魔者が入っちゃったね、麻衣美。すぐに駆除するから、ちょっとだけ待っててね」 「え……ちょ、ちょっと!!」  目尻の縮緬ジワが、スッと引いて、真顔になった。  要二朗の中の燃える怒りに気づき、麻衣美は恐怖で息を飲む。 「お前は僕のことだけ考えていればいいんだよ」 「………なっ」  氷のような冷ややかな目で、要二朗は一瞬麻衣美を見つめた後、すぐに足元に倒れている有希の方を振り返った。  そして近づくや否や、すぐに腹部に強烈な蹴りを入れる。 「ぐは……っ!」
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