61人が本棚に入れています
本棚に追加
「え?あ、ありがとうございま……うぅっ!」
背中を丸くすると激痛が走る。
お姫様抱っこは嬉しいのだが、丸まった体勢を取るのが辛い。
「少しの我慢よ。ちょっとだけ」
「はい、我慢しま……あっ」
有希の背後に何かがぬっと立ち上がった。
と、思った瞬間に有希はベッド下、後方に吹き飛ばされた。
「有希先輩!!」
「……どいつもこいつも、僕の聖域に簡単に踏み込んできやがって……いったいなんでこんなことになってるんだ」
現れたのは、右耳から血を流した要二朗だった。
愕然とする麻衣美の前に、要二朗は近づき、右手で頭を撫でながらにっこりと微笑む。
「とんだ邪魔者が入っちゃったね、麻衣美。すぐに駆除するから、ちょっとだけ待っててね」
「え……ちょ、ちょっと!!」
目尻の縮緬ジワが、スッと引いて、真顔になった。
要二朗の中の燃える怒りに気づき、麻衣美は恐怖で息を飲む。
「お前は僕のことだけ考えていればいいんだよ」
「………なっ」
氷のような冷ややかな目で、要二朗は一瞬麻衣美を見つめた後、すぐに足元に倒れている有希の方を振り返った。
そして近づくや否や、すぐに腹部に強烈な蹴りを入れる。
「ぐは……っ!」
最初のコメントを投稿しよう!