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襟元を持って後ろに引き倒された有希は、防御に遅れたせいもあり、後頭部を強かに打った。元々ミカコに蹴られて傷があり、頭には包帯を巻いた状況だ。
完全回復したワケではなく、勢いでここまで来たのだ。
「有希先輩……っ!!やめて、要二朗さん、有希先輩に何もしないで!」
ベッドから叫ぶ麻衣美の声が、願いとは裏腹に、より一層に要二朗の怒りを深めていく。
「僕は、この女を許さない」
ボグッ、ボグッと腹、背中、頭、足、全てを蹴り続ける。
けれど素足なため、自分も痛みを感じ始めたのか、要二朗はそのうちに蹴りを停めた。
「僕自身が身体を痛める必要はないな………」
そして徐にミカコの死体の傍にゆらりと歩き、その腰に刺さっていたアーミーナイフを抜き取った。
「や……やめて………っ!!」
絶叫に近い嘆願。
けれど声はどこにも響かない。
要二朗は有希の傍らにしゃがみ込み、その店の制服である白シャツをまず引き裂いた。
ボタンが弾け飛び、アスリートが身に着けるタイプのブランドスポーツブラが露わになる。
そのブラを勢いよく引っ掴むと、要二朗は繊維に刃を当ててビリビリと切り裂いた。
「な………っ!」
思いがけない行動に、有希は眩暈を堪え応戦する。
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