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確認しようと首を背後に向けようとした、その一瞬に、首に回っていた手が圧迫を始めた。
「ぐっ……ぐ、え……っあぁ………ぐっ!!」
女性のものとは思えない力。
迷いの無い、一気に、押し潰すような、周りの重力を一極集中したような壮絶な力。
なのに。
振り解こうにも、その手は掴めない。
その手は実在しない。
力はあるのに、目には見えない。
『おぉおおおおおおお…………』
「やめろ……わが……っやめる、やめるから……だか……っ」
決死の努力で声を絞り出す。
けれど喉への圧迫は止まない。
頭に血が上り、顔が紫に変色して行く。
呼吸困難で視界が歪む。
激しい頭痛、強烈な苦しみが襲う。
「あが……っ、がががが……」
意識が飛びそうな、悶絶の寸前。
要二朗の目に、群がる多くの女性たちの姿が見えた。
若く、美しい女ばかりだ。
そしてどの顔にも記憶がある。
彼女たちは全て、要二朗の性玩具だった。
飽きたら捨てていた。
金儲けの道具にしていた。
生きている者もあれば、死んでいる者もあった。
ミカコの姿もその中にあった。
彼女たちは言う。
『愛してたのに』
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