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それどころか、震えがだんだん酷くなっている。
「ちょ……大丈夫?アンタ……アンタ今、あそこにいるの?で?麻衣美は?麻衣美は無事なんでしょうね!」
『ゲンカン……トビラ……アケテル………』
「えっ?何?玄関?ちょっと……」
『グハアッ!!』
「えっ……」
血飛沫が、全身に飛び散って来た、と思った。
ミカコの顔が、身体が、一瞬で崩壊し、バラバラになった。
まるで肉爆弾のように粉々になって、ミカコの姿は消えた。
実際には血など一滴もかかっていなかった。けれど。
「キャ―――――!!!」
ミカコが破裂した様子を見た客の何人かが失神し、白目を剥いてその場に倒れた。
「い、乾くん!い、今のはいったい!?」
朧にだが、店長もその惨状を目撃したらしい。
青褪め、しどろもどろになった顔が、パニックを物語っている。
「今のが、ストーカーの関係者の女、ミカコです」
努めて冷静に、有希は言葉を紡いだ。
「えっ?ミ、ミカコ?あ、あれだよね、前もうちに来た子だよね」
「そうです。そして恐らく、彼女は今、殺された」
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