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「覚えてない?そっか……アンタ、身体はベッドだったもんね。そうなのよ、そう。でも、あの手を見た時、麻衣美の手だ!って、思ったのよね」
有希は胸を切り取られそうになって意識が飛びそうになっていた時、要二朗の首に背後から小さな手が現れたのを目撃していた。
そしてそれを直感で麻衣美のものだと思ったのだ。
「そうよね……考えれば、ありえないのよね……でも」
「はい、それ……多分だけど、私……だと思います」
「えっ」
麻衣美にもうっすらと記憶があった。
有希を助けたい一心で、想いがいっぱいになり過ぎて。
そして意識を消失して、倒れた。
けれど失神した、というワケじゃなかった。
朧だけれど、それからの記憶があった。
要二朗の背後に立った記憶。
そしてその首に手をかけた記憶………。
「じゃ、じゃあやっぱりアンタが………」
「そうなんですけど、そう……確か、そこから、止められたんです」
「え?止められた?誰に?」
「誰かはハッキリとは分かりません。でも気づいたらたくさんの女性が要二朗さんの周りに群がってて。
そのリーダーみたいな女の人がちょっと離れたところに立ってたんですけど、その方が、『あなたの指紋は残るとまずい。他の子なら足が付かないから、あなたはちょっとどいてなさい』って言ってくれて」
「リーダーみたいな人?」
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