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くらくらする頭をどうにか倒れないように保ちながら、麻衣美はその辺にあった深緑の座面のスツールを引き、有希の枕元に近づいた。
「……私、有希先輩に人生捧げますから。絶対幸せにします」
「おぉっとぉ?ここで逆プロポーズっ!?先越されたわねえ」
「ちょっと、有希先輩真面目に……」
「はいはい。聴いてますよ。こちらこそ、よろしくお願いします」
「……ずっと好きでもいいですか」
「へ?」
「有希先輩のこと、ずっと、ずっと好きでも……」
「…………」
気づくとまた涙がポロポロ零れて、膝上のスカートの生地に染みを作っていた。
幸せ過ぎると不安になる。
保証が欲しい。空虚でも。ずっと保証が。証明が。
ちゃんと、言葉が欲しい。
「うん。勿論よ。アタシもずっと、アンタを好きでいるわ……」
涙目で視界が揺れて、有希の輪郭が見えなくなって。
瞑った目からブワッと飛び出た雫が、頬に何重にも流れ落ちていく。
もう絶対自分の気持ちを誤魔化さない。
女だから何。
女同士だから何。
こんなに素敵な人いないもん。
私はずっと、胸を張って有希先輩を愛して行く。
震える肩を引き寄せ、有希は麻衣美の頭を優しく撫でた。
そして「もう一度だけ」と呟いて再び、その唇を奪った。
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