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 こちらがまだ答えてもいないし、仕事中だと言うのに身体を小さな腕でロックして、マシンガントークを勝手に開始する。 「もうね、ずっと心配してたのよ。警察とか病院にもね、いったいどうなってるのか問い合わせてね、なのに本人に聞けって冷たいしね、麻衣美ちゃんが全然お母さんからの電話取らないから、ホントに心配したのよ。もうずっと眠れなくて、ずっと辛かったのよ」 「うん……ごめんね、ありがとう。でも、いいかな。ちょっと仕事中だから……」  自分中心の一方的な会話、お母さんはいつもそう。    麻衣美はどうにかうまくあしらって、すぐに帰ってもらおうと差し向けた。しかし。 「ああ、いいよ、麻衣美ちゃん。ご両親だろう?ちょっと抜けて話してきたらいい。僕が代わりにフロアに出とくから!」  空気読めない系代表の豆田店長が、理解ある上司感をアピールし、爽やかな笑みで麻衣美の肩を軽く叩いた。  その時の麻衣美の不快感、絶望感と言ったら、言葉では言い表せないものだった………。   「本当に心配なのよ。ねえ、一日でいいから実家に帰って来なさいよ。たまにはゆっくり話をしたいし、顔を見たいの。ねえ、もう三年近く全然帰って来てないじゃない?何が不満なのか知らないけど、何も親の面倒を見ろとか、そーゆうことを私達言ってないワケだし、あんまり釣れないのもどうかと思うの」
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