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「桟ヶ嶋です……お母さんとは懇意にさせてもらっています。これから結婚を前提とした付き合いになると思うので……麻衣美ちゃんとも、これから……家族の一員として仲よくしてもらいたいな」 「…………は、はあ……」  三十代、恐らく母より一回り以上下で、麻衣美より一回り上くらいだろうか。  野暮ったい黒髪はボサボサで目までかかって、面長の顔は何だか青白く、妖怪ぬらりひょんを彷彿とさせた。  高校の時、バスの中で麻衣美を狙って執拗に痴漢を繰り返してきた男がいた。  深めの帽子を被っていたから確かとは言えないけど。  その男に、面影が似ている。      桟ヶ嶋が帰った後、麻衣美は母に掴みかかるように意見した。 「もう!お母さん……!お父さんがいなくなって寂しいからって、あんな若い男の人と付き合うだなんて!ねえ、お母さんがうまくいくタイプじゃ絶対ないと思う。私はあんまりあの人良いと思わない」
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