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母が同窓会で盛り上がって遅くなり、今日は友達とホテルに泊まるという連絡があって、その晩は桟ヶ嶋と二人で過ごすことが午後九時になって確定となった。
そんなことなら私も友人宅に泊まる手はずにするんだったのに、と内心叫んだが、まあ一日くらいしょうがないか、とも諦める。
幸い今夜は母が同窓会というので、それぞれで夕食を取っていたから、後はもう眠るだけだった。
和室の六畳間、麻衣美は自室に布団を敷いて、いつものようにゴロリと寝転がった。
かしましい母が家の中にいないと思うと、庭先の虫の声さえ大きく響いて聴こえる。
全てが寝静まった夜半、オレンジ色の小さな電球だけが四角い囲いの電燈の中でほんのりと灯っていた。
なんとなく寝付けない、そう思いながら数時間……ようやく眠りに就きかけたのは午前二時頃だった。
そして、それから間もなく。
背後から何者かに上半身を拘束された気配を感じて、麻衣美は身震いし、瞼を開いた。
動こうにも、動けない。
まるで金縛りにあったかのように、あまりの恐怖に心臓が跳ねあがった。
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