6-4

2/3

62人が本棚に入れています
本棚に追加
/335ページ
 細身の男の腕が、麻衣美を後ろから抱きしめていた。  手のひらの一つが、パジャマの上から麻衣美の胸に伸びて来ている。  夢、じゃない。  はあはあと荒い息、振り返らずとも分かる。  これはずっと恐れて来た事態だった。  やっぱりあの目は、勘違いなんかじゃなかった。  やっぱりあの目は、厭らしい目だったんだ! 「……………っ!!」  逃げなきゃ!  そうは思っても、硬直した身体はすぐには動かせない。声も出せない。  そのうちに手の平がパジャマのボタンを外し、ブラの内側に滑り込んできた。   「麻衣美……あぁ、やっと、やっと君を僕のものに……」  ドクン。  指が、  乳房を撫で、  突端に、    触れる。    電撃のような、嫌悪が神経中を走った。 「あぁああ……!!!いやぁあああああっ!!」  その声を起爆剤にして、麻衣美は布団から飛び出した。  絶叫しながら障子を開け放ち、庭に裸足のまま駆け下りる。 「ま、麻衣美!!待ってくれ!」 「いやあぁああああ!!」
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加