62人が本棚に入れています
本棚に追加
/335ページ
細身の男の腕が、麻衣美を後ろから抱きしめていた。
手のひらの一つが、パジャマの上から麻衣美の胸に伸びて来ている。
夢、じゃない。
はあはあと荒い息、振り返らずとも分かる。
これはずっと恐れて来た事態だった。
やっぱりあの目は、勘違いなんかじゃなかった。
やっぱりあの目は、厭らしい目だったんだ!
「……………っ!!」
逃げなきゃ!
そうは思っても、硬直した身体はすぐには動かせない。声も出せない。
そのうちに手の平がパジャマのボタンを外し、ブラの内側に滑り込んできた。
「麻衣美……あぁ、やっと、やっと君を僕のものに……」
ドクン。
指が、
乳房を撫で、
突端に、
触れる。
電撃のような、嫌悪が神経中を走った。
「あぁああ……!!!いやぁあああああっ!!」
その声を起爆剤にして、麻衣美は布団から飛び出した。
絶叫しながら障子を開け放ち、庭に裸足のまま駆け下りる。
「ま、麻衣美!!待ってくれ!」
「いやあぁああああ!!」
最初のコメントを投稿しよう!