62人が本棚に入れています
本棚に追加
/335ページ
要二朗は確かに犯罪者で、いかに尽くしてくれたとしても、あれはやっぱりレイプだった。けれどあのベッドでのもてなし方は、決して悪いものでも無かった。
好きな人とのセックスであれば、アロマを焚くのもオイルを使うのもアリな気がした。
今回は要二朗が特別に媚薬として調合したこともあって、良くない印象もあったけれど、実際は生活の中で有効に使えば、香りはとても良いものだと思う。
『媚薬には中毒性がある。慢性的に嗅ぎ続ければ、君は僕無しじゃ生きられなくなる……』
最初のレイプの際に、要二朗は耳元でそう囁いていた。
あの時はもうわけくちゃ分からなくて理解不能だったけれど、今ならちょっと……それが理解出来る。
ずっとあの部屋で、あんなに優しく抱かれる日々が続いていたら、確かに脳も蕩けてしまうかもしれない。
麻衣美の場合は数日間だけだったから依存、中毒には至らなかったけれど、それが三日、一週間、一ヶ月ともなれば、きっと精神的な変化も起こり得るだろう。
拉致監禁ではあったのだけれど、あの場所には確かに要二朗なりの最善の『愛』があった。
狂った愛だとしても、その気持ちが、想いが真剣だったことは、分かる。
もし有希がいなければ、想う人がいなかったならば、洗脳はよりずっと深いものになっていたかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!