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 あれからちょっと、香りの驚くべき作用や魅力に気づいた麻衣美は、いろんなアロマオイルを衝動買いしてしまっていた。  今、湯船に入れたライムは、その中でも一番麻衣美が好きと思う爽やかな香りだった。  いつも店などで目にしているライムの果皮はグリーンだけれど、熟していくと黄色くなる。  未熟な状態から成熟に移行する段階で絞られたライムのオイルは、フレッシュな若々しさと共に未来への希望や期待を感じさせてくれる香り、とアロマの紹介本にも記載してあった。  暗い考えに陥りそうな時、この香りは麻衣美のハートを励まし、ネガティブさを浄化して寄り添ってくれるような気がした。 「うん、私の人生はこれからだもん!気分一新して頑張んなきゃ!これから有希先輩とハッピーウキウキ☆ラブラブライフが始まるワケだしぃ、沈んでなんかいられないよね!……有希先輩にも今度嗅がせてみよう。有希先輩はどんな香りが好きかな……」  有希先輩を想うと、切なくて苦しくなる。  早く退院出来たらいいな。  胸の痛みがなくなったら、すぐにハグしてもらいたい。  早く一緒に住みたいな。  家の中で一緒にいられたら、四六時中離れないのに。  有希先輩とだったら、何があっても、乗り越えられる気がする。
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