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ぐらりと深い闇に意識が埋没した。
自分の選んだ道を後悔し、何より自分を呪った。
そして思い浮かぶ全ての場所にそのピンクの色のついた両手を伸ばした。
自分の部屋、職場、カフェ、友達の家、社宅、その他いろいろ……
結界が張ってあった要二朗のマンション以外は、とにかくいろんな場所に思念を飛ばした。
過去も未来も越えて。
自分の魂のかけらが散るように。
意識を、思念を、邪念を、飛ばした。
その中に、実家も含まれていた。
「………あぁぁぁぁああああぁあぁぁあぁ……!!」
あまりの恐怖に息が詰まる。
身体が、硬直する。
自分の愚かさ、自分の未熟さ、自分の無力さ、自分の……
自分の愚かさ、自分の未熟さ、自分の無力さ、自分の……
こうできたらこうしてたらこうやってればこうなってたなら……
こうできたらこうしてたらこうやってればこうなってたなら……
あの時発した自分の負のオーラの塊が胸を貫いた。
瞳に光の滲まない、人と思えぬ女がそこにいた。
焼け縮れた毛先でボロボロの髪、痣で腫れた瞼。
その全ての指先は白の顔料と鮮血の赤で、斑なピンクに染まっていた。
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