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「そんな!ダメダメ、ダメに決まってるじゃないですか!とゆーか時間ないですから!ちょっとどいてて下さい。もう私の休憩時間終わるんで。ササッと眉と目だけでもやんないと……」 「そうなんだ。ふうん……じゃあ、分かった。任せて」 「えっ………」  長い腕を伸ばした先に、いつの間にやら有希の化粧ポーチが置かれていた。  そこから何やら仄かなボタニカルな香りがするクリームを取り出すと、有希は迷うことなく麻衣美の鼻梁の頂点や頬の中央にポンポンと乗せ、指の腹で薄く伸ばしていく。  その後にまたいい香りのクリームファンデを乗せられ、軽くパフで頬を(はた)かれた。眉や目元もあっという間に整えられていく。 (ひゃああああ………気持ちいい―――――………)  人様にメイクしてもらうなんて初めてで、しかも完全に手慣れていて、麻衣美は最早まな板の上の鯉だった。  そして気づけば五分も経たない間に、メイクは終了。  麻衣美の顔は別人のようなナチュラルメイクに仕上がっていた。 「おっ!?おおっ!?な、何これ何これっ?さては有希先輩、メイクの魔術師っ!?私が自分でやったら三十分はかかるのに!」
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