交差するエスカレーター

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帰り道、俺はいつも通う駅の上りのエスカレーターに乗っていた。エスカレーターを歩くのも面倒なので、動かないままスマホをいじる。 エスカレーターは間もなく終わろうとしているのに気づき俺はスマホをポケットにしまい、顔を上げる。 その時だった。右側の方によく見知った顔があった。元カノだ。 元カノは俺に気づくことなく、下りのエスカレーターを足早に降りていった。 元カノは料理が上手く、特にパウンドケーキは美味しくて、俺はよくリクエストしていた。大学にいた頃に数年付き合ったものの、お互いの考え方のすれ違いが原因で別れてしまった。 元カノを見たのは約二年振りだった。声をかけようかと思ったがやめた。俺と元カノの関係はもう終わっているからだ。 俺はエスカレーターの方を向かずに、そのままホームまで歩いていった。 心で元カノの幸せを願った。
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