あとがき

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あとがき

いつも応援いただきありがとうございます。 デイドリーマーズ、無事完結です! 2022年7月に執筆を始めてから約1年半、たくさんの方々に支えられながらここまで来れました。応援してくださった全ての皆様へ、改めて心からの感謝を。本当にありがとうございました! 新しい世界が始まるまでの長い物語は、楽しんでいただけたでしょうか? マコト先生とアーティたちの未来に、希望を見出せていただけたでしょうか? 「デイドリが視えるようになった世界で、タマキがにゃ~んと鳴いて終わる」 構想当初にはっきり決めていたのは、これだけです。どんなセリフ回しにすれば印象的になるのか、どんな展開にすれば説得力が出るのか、どんな景観がこのシーンに相応しいのか。その都度放出できる最大限の想像力と表現力で書き綴ってきました。ある意味、行き当たりばったりとも言います。 人間とデイドリの関係性って、人間同士の普段のやり取りでも重なる部分があると思います。知らないから相手を恐れるし、想像力が及ばないから人を傷つける。それが悲しいことだと気づいていても、誰かを理解するのって簡単なことじゃない。だからこそ、アーティのヒーロー性がいっそう輝かしく見えたんだと思います。 作品を通して伝えたかったことは作品の中に全て置いてきたので、ここでは多くは語りません。何か一つでも心に残るものがあれば、作者として大変嬉しく思います。 思い返せば、デイドリの執筆は常に挑戦でした。 それまではただ思いつくがまま筆を走らせていましたが、プロットについて勉強できる本を買ったり、現地の描写を追求するためにたくさん調べものをしたり、終わりのない推敲を続けたり。 ずっとつま先立ちで背伸びして、水面から顔を出して必死に息をしている状況でした。執筆が長くなるにつれて苦しいと思う時間が増え、私生活のあれこれでメンタルが安定せず、何度も背を向けようと考えては休載を挟み、ようやく今日を迎えました。最後の方は折れた鉛筆の芯を摘んでどうにか書いていたような状況で、正直に言うと満身創痍です。 でも、逃げずに書ききって良かったなと心から思います。執筆歴は無駄に長いのですが、これまで長編を完結させた経験がありませんでした。長くて7万字くらい。自分で広げた風呂敷がたためなくなって諦めた作品もあります。 そんな中で完結まで走り抜けられたのは、やはり応援してくださった皆様のおかげです。デイドリを通じて多くのご縁に恵まれました。書く人とも、読む人とも。この人たちに背を向けて筆を放り投げることが、私にはどうしてもできませんでした。最後の最後まで弱い私を助けてくださって、本当に本当にありがとうございました。 Xやカクヨムの近況ノートではご説明していたのですが、デイドリの完結をもって私は一旦筆を折ることとなりました。私事ではありますが、創作の核になっていた存在を失うことになり、今の筆ではもう書きたくても書けません。それに、他者に依存してすぐ折れるような芯のない筆ではだめなんです。しばらくは皆様の作品を拝読したり映像作品をインプットしたりしながら、新しい筆を探していこうと思います。 何のために書くのか。 どうして書きたいのか。 執筆との向き合い方を、もう一度ちゃんと考えてみます。 もしまた書き手として戻って来ることがあれば、今よりももっと前向きに楽しく書けるようになっていたらいいな。 最後に重ねてにはなりますが、今日までデイドリーマーズを応援、ご愛読いただき、ありがとうございました。そして西暦2045年の架空未来を鮮やかに駆け抜けてくれた全てのキャラクターたちを誇りに思います。私には過ぎた宝物ばかりを与えてくれたこの作品自身にも、最大級の感謝を。 皆様、どうか素敵な活字ライフを。そして皆様の記憶の片隅に『デイドリーマーズ』が一欠片でも残ってくれたら、大変嬉しく思います。素晴らしい経験をありがとうございました。 2024.2.2 貴葵
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