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「な、何だろ? 今急に景色が移動して館が出てこなかった?」 「あぁ、そう見えた」 「入ってみる?」 「危なそうだったら引き返そう?」 「うん?」 佐葵と真葵は手をギュッと握り締めると、突如現れた謎の館へと足を踏み入れた。 ギィーっと玄関にあたる扉を開くと、中は奇麗な作りの洋館のようだ。 「何か外はボロボロな感じだったけど、中は奇麗だね?」 「あ、圏外になってる」 「え?!」 真葵がビックリした顔で佐葵を見つめると、館の扉は勝手に閉まってしまう。 バンッと衝撃音がしたかと思うと、佐葵は扉に近づいて開けようとしたが何故か開かない。 ガチャガチャと音は出るがビクともしない扉に佐葵も焦りの表情を見せた。 「閉じ込められた」 「鍵掛かってないのに、何で?!」 「わからない。 つーか、携帯も圏外になってるから連絡出来ない訳だな」 「そんなぁー」 佐葵は行く前の港の忠告を今になって思い出すと、身震いしてしまう。 「どうしよう、佐葵」 「出口探してみよう?」 「でも、全部この扉みたいになってたらどうしよう!」 「真葵、大丈夫だから落ち着いて? 俺も居るし大丈夫だから」 「うん、でも… ちょっとスリリングな状況だね!」 「は? 何か楽しんでないか、真葵」 「ふふっ 私達はミステリー研究会の部員よ? 不可解な現象は興味深いじゃないの」 「全く、お前は」 「佐葵、キッチンの方に勝手口あるかもよ? 行ってみない?」 「そうだな」 佐葵と真葵がキッチンを探そうと歩こうとしていると、階段の上からこんな声が聞こえてきた。
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