2人が本棚に入れています
本棚に追加
世の中には不思議な体験談が多くある。
都市伝説やオカルトじみた話は昔からの言い伝えみたいなものだと俺は思う。
春風 佐葵は部室の窓辺に座るマイペース少女を見つめてはハァーっと溜息を吐いた。
「ふふっ
佐葵ちゃん、森に行くの楽しみだねぇー」
「ちゃん付け禁止だからな、真葵」
「え?
今更遅くない、佐葵ちゃん!」
「フッ
まだ言うつもりかな、この口は」
佐葵は星風 真葵の鼻をムギュっと摘まむと、フッと微笑む。
「ん〜
何するの?!」
「ちゃん付けしたから罰ゲーム」
「もぉー
佐葵のおバカ」
「呼び捨てにしないからだろ?
何でいきなりやめるんだ?」
「…だって、呼び捨てって付き合ってる人がするものだよ?」
「ふぅん?
真葵、俺のこと何だと思ってんの?」
「何って…」
「真葵は俺好きじゃなかったの?」
「…!」
「昔は結婚するだの何だの叫んでたのになぁー
今は論外みたいだしな」
「…佐葵だって、恋人居たことあるじゃない?
私は幼馴染みみたいなもんでしょ?」
「…ふぅん」
佐葵は詰まらなそうにしていると、真葵がいきなりギュッと腕を掴んでくる。
「真葵?」
「…佐葵が私と恋人になりたいなら、いいよ?」
「ふぅん」
「な、何でそんな興味ないみたいな態度なのよ?
私は…」
「真葵ってやっぱ俺好きなんだ?」
「…!
やっぱりって何?!」
「昔っからそうでしょ?
まあ、俺も真葵の事嫌いじゃないしいいけど
?」
「…本当?」
「あ、でも…
今朝、真葵告られてなかった?」
「うぅ…
何で知ってるの?」
「真葵は人気あるみたいだし?
よく呼び出されてるだろ」
「…ちゃんと断ったもん」
「フッ
なら、良かった」
佐葵は嬉しそうに微笑むと、真葵をギュッと腕の中に閉じ込める。
最初のコメントを投稿しよう!