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その頃、噂の森に既に到着して入ってしまっていた二人は普通に散策していた。 「佐葵、向日葵咲いてる」 「フッ 真葵、向日葵好きな」 「うん! 名前にも一文字入ってるし、嬉しいんだ〜」 「つーか、お前の兄妹にはみんな入ってるじゃん?」 「うんっ 亡くなったお母さんが好きだった花なんだってお父さんが言ってたよ? 佐葵の名前も入ってるよね」 「まあ、お隣同士だったからだろうな」 「かもしれないね!」 真葵は楽しそうに笑っていたが、突然雨が降り出した。 「あっ! あそこの木の中入れそうだよ」 「一時避難」 真葵と佐葵は大きな木の中に入ると、雨を何とか凌げそうだ。 「いきなり降るって事は通り雨かもしれないね?」 「…」 「さ、佐葵?」 「あっ…」 「どうかした?」 「頭濡れてるから、ジッとして」 「え?」 佐葵はタオルを真葵の頭に被せると、引き寄せて拭き始めた。 「…!」 「寒くない?」 「佐葵、近くない?」 「寒いかと思って…」 「そ、そうなの?」 「真葵さ?」 「ん?」 「意識してくれたの?」 「?!」 「ふぅん? そうなんだな~」 「さ、佐葵も濡れてるから拭いてあげる」 「ん、どうぞ?」 佐葵は楽しそうにそう告げると、真葵は顔を赤らめながらタオルで頭を拭いてやる。 「つーか、重装備役に立ったな」 「でしょ? 森とか山は備えないと危ないんだよ」 「真葵、親父さんみたい」 「もぉー お父さんは山登りが趣味だったから、その影響なんだってば!」 「知ってるよ、そんなの」 「佐葵、今日は何かちょっと意地悪してるでしょ?」 「可愛い真葵を可愛がってるだけに過ぎないんだから、許して」 佐葵がフッと微笑んでそう告げると、真葵はなんとも言えず黙りしていた。
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