丁夜に煙る

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 翌朝、青年は目を覚ました。  よく眠れたようだ。身体にはまだ煙の匂いが染み付いている。あとでシャワーを浴びようと決めた。  あのうなぎを思い出し、苦笑いを浮かべる。 「それにしても、なかなかの出費だよなあ。いや、旨かったけど」  想定外の出費だった。後悔はしていないが、やはりうなぎは高い。  エアコンも壊れていることだし、昼過ぎに扇風機を買いに出かけよう。あとどれくらい残っていたっけ、と財布を確かめてみる。 「……あ、ええっ!?」  青年は中身を見て愕然とする。  その財布には、千円札の代わりに六枚のが入っていた。
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