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「どらどら、たぬき八化け、とくと見よ」
草原に移動し、一掴みの枝と木の葉を宙に放る。印を結んでむんと念じれば、それはたちまち屋台へと変化した。見事な変化術である。
設備は変化でまかなっているが、炭火と食材は本物を使っている。日本人は米とうなぎにうるさいから、だませないのだ。そして、うなぎに関してだけは嘘をつかないと決めている。
初めの商いは酔っ払い相手の焼き鳥屋だった。木の葉で作った焼き鳥を売り、金を稼いでは野菜や果物を買って食べた。人間が作る野菜は旨い。畑のものを盗めば恨まれるが、自分で買う分には誰も文句は言わない。そのようにして土地を転々とし、原価ゼロ円のぼったくり屋台を営んできた。
そんなある日、たぬきはこんなことを耳にした。何でも人間たちはうなぎの蒲焼きに目がなく、金に糸目をつけないらしい。新しい商売が決まった瞬間だった。
ようし、いっちょ一儲けしてやるか。
そうして意気揚々とうなぎの屋台を開き、客の老人に見破られてボコボコにされた。
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