丁夜に煙る

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 ようやくコンビニに到着する。店内はこれでもかというほどの冷気で満たされていた。火照った身体がびしっと冷やされ、爽快な気分になる。ここで眠ればさぞかし気持ちいいだろう。  妄想もほどほどに、ソーダ味の棒アイスとジャスミンティーを手に取った。今は甘い飲み物よりもすっきりしたものを飲みたい気分なのだ。ビールには目もくれない。青年は下戸だった。  会計を済ませ、入り口の方を向いて憂鬱になる。せっかく汗が引いたというのに、帰った頃にはまた暑くなることだろう。考えるだけでも気が滅入る。  ようやく覚悟を決め、楽園に背を向ける。もわっとした空気が彼を出迎えた。急いで買ったばかりの飲み物に口をつける。  きりりと冷えた液体が、喉にぶつかっては流れていく。今、身体が最も欲しているものがやってくる快感。たまらず目を瞑り眉間に皺を寄せる。忙しなく喉が鳴り、ペットボトル内のお茶がみるみる減っていく。喉が冷やされすぎて少々痛い。だが今はそれすらも心地いい。ごくっ、ごくっ……。 「……ああ~っ!」  思わず心の底からの声が出てしまう。暑苦しい夜に飲む冷たい飲み物は、こたえられない旨さがあった。ジャスミンの風雅な香りが遅れて広がる。身体の細胞すべてが歓声を上げているようだ。二口目で全部飲み干してしまった。  さらにアイスをかじる。氷が身体を内側から冷やしてくれる。冬にこたつで食べるアイスクリームもいいものだが、やはりアイスキャンディーは夏に限る。暑さに参っていた身体が一気に回復していく。  ああ、やはり来てよかった。しゃくしゃくと平らげてしまい、涼やかな気持ちで彼は夜道を歩き始めた。
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