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「ところで本題だが、こうなった原因に心当たりはあるのか?」  国王陛下の問いに、エマは困った顔になる。 「ええと、たぶん?」 「エマの部屋には、何やら呪詛のような紙切れがくくりつけられていたと聞いているが」 「あ、それ、私が書きました」 「お義姉さまが呪詛を?」 「いや、願い事を書いたつもりだったんだけどなあ」 「それがどうしてこんな無茶苦茶なことになるんだ」 「あくまで推測なのだけれど」 「なんだ」 「神さまは、全部の願い事を叶えてくれようとしたんだと思うの」  エマが確認したところによると、彼女の願いは()()すべて叶っていた。 「あなたたちも結婚していたし、睡眠不足も解消したでしょ」 「だが、いささか叶え方が乱暴ではないか?」 「ほら、私が参考にしたのは東の国の行事なんだけれど、この国の神さまってわりとイベント好きでしょう。だから、願掛けをされてはりきっちゃったのかなあ……なんて」 「張り切った結果が15年睡眠とは……」 「そうねえ。でも、神さまにとって、ひとの一生なんてまばたきする程度のものじゃない。だったら、これも誤差範囲かなと思うのよね」 「お義姉さま、心が広すぎます!」 「そもそも、特に不利益を被っていないからね。朝起きたらおばあちゃんになっていたとかなら、ちょっと悩むかとしれないけれど。それに叶えられた願い事はそれだけじゃなくってね」 「まだ他にもあるのか?」 「ちょっと行ってみる?」 「どこへ?」 「魔の森」  ふわりと微笑むと、エマは国王に義妹、そして後ろで控えていた従者を連れて消えた。
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