変わらない毎日

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翌朝 今日も玄関までゆうちゃんをお見送り。 「今日夕方から雨だって、さっき天気予報で言ってたよ。」 その場に置いていた折りたたみ傘を手渡した。 「あー、そうだった。サンキュ。」 ゆうちゃんが傘をカバンに入れた。 「今日はお弁当落とさないでね。今日はタッパーだから丈夫じゃないし。」 「さすがに二度は落とさないよ!じゃあ、いってきます。」 「いってらっしゃい。」 ゆうちゃんの手が私の頬へと伸びる。 「ママー!牛乳飲みたーい。」 キッチンから洸太の声がすると、ゆうちゃんはその手をそのまま下ろし、にこっと笑うと玄関から出て行った。 ゆうちゃんが開けたドアが静かに閉まると玄関は急に暗くなった。 キッチンへ戻ると、洸太が牛乳パックを傾けてコップに注ごうとしているところだった。 そしてそのまま手を滑らせて牛乳パックはテーブルのへりに当たってから床に落ちた。 私が慌ててパックを拾い上げた時には半分くらいこぼれてしまっていた。 「こうちゃん!なんでママを待っててくれなかったの!」 思わずきつい口調になる。 「…。」 下を向いたままの洸太。 雑巾を持ってきて、床に膝をついて牛乳を拭きはじめると頭の上から洸太の小さい声が聞こえた。 「ごめんなさい。」 泣き出しそうな顔でモジモジと服の裾を摘んでいる。 その姿にハッとした。 「ママもごめんね。先に牛乳注いでおけばよかったね。」 洸太をそっと抱きしめた。
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