眠れない夜

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不安や違和感が降り積もっていく。 私の心はずっと乱れていた。 ずっと胸焼けしてるみたい。 吐き出せたら楽なのに。 誰に向けてかわからない憎悪がただひたすらに増殖していく感覚。 それでも朝は来て、1日は始まって月日は流れていく。 9月になってもまだ暑くて体は疲れていた。 「今月は帰りが遅くなる日が増えるかも。」 と言われたときも 「うん。わかった。でも無理しないでね。」 と笑って言えた。 実際に、ゆうちゃんは毎年9月になると残業が多かった。祝日が多かったり、決算月なことも関係していて不思議ではなかった。 ある日の夕方ゆうちゃんから電話があった。 「今日、仕事が終わりそうになくて、残業してくから、花乃は先に寝てて。」 こういうことも初めてじゃない。 それなのに心が騒いで仕方がなかった。 「うん、わかった。じゃあ、先に休ませてもらうね。お仕事頑張って。」 明るい声で言えたと思う。 心の中はぐちゃぐちゃだったとしても。
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