壊れた

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「じゃあ、抱いてよ。」 ゆうちゃんに言った。 「私を好きなら抱いてよ。いつかゆうちゃん誘われたいって言ってたよね。なら私からいくらでも誘ってあげるから今すぐここで抱いてよ!」 泣きながら叫ぶように言った。 (さわ)れないくせに、私のこと。 今まで通りキスもできないくせに、好きなんて言葉、信じられない。 悲しそうな顔で私を睨んだゆうちゃん。 そんな顔初めて見た… 私の両腕を掴んで引き上げると、強引に食器棚へ押し付けた。ガシャンと大きな音がして首筋に噛み付くみたいにキスされた。服を無理やり捲り上げられブラジャーを外された。 「…やだっ!やめて!離してっ…!」 怖くなって訴えてもやめてくれない。 スカートのホックは力尽くで壊されスカートが落ちた。その手が下着を強引に引っ張った時、私が座り込む形でゆうちゃんの力から逃れた。 ゆうちゃんの足元でうずくまって泣くことしかできなかった。 ゆうちゃんは出ていった。 どんな顔をしていたのかわからない。玄関で車のキーを取る音がしたから車で出ていったと思う。 身体のあちこちが痛い。 手首にゆうちゃんの手の痕がはっきり残っていた。 首や胸がひりひりするのは噛み付くように吸われたせいだ。 裏切られた事実は私を壊した。 壊れた私が優しいゆうちゃんを壊した。 こんなのもう夫婦って言えないよね。
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