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クラス会はバーベキューをすることになった。
クラスの殆どが集まって文化祭の時のように盛り上がった。
みんな私服だし、車に乗っていたり、こっそりお酒を飲んだり、たった3ヶ月なのに驚くほど大人になっていた。
でもみんながなにより驚いたのは私が前田くんと一緒に現れたことだと思う。
車を持っていた山部くんに他の男子二人と前田くんと一緒に乗せてもらって河原に行った。
野球部で坊主頭だった山部くんは髪が伸びてかなり印象が変わっていた。専門学校に進み、保育を学んでいた。
でも明るいキャラは健在で、仲のいい男子グループに私がいる気まずい状況を盛り上げてくれた。
「あ!前田達やっときた!」
「前田遅いよ!山部が事故ったかと思ったw」
口々に言ってからみんなは私が一緒にいることに気づき、固まっていた。
「え?岩瀬さん?どういう組み合わせ?」
「あー。大学同じだもんね!」
一瞬考えて理解不能な状況に納得したらしい。
地味な私が前田くん達みたいなクラスの中心だった人たちの中にいたらそんなに驚かれるのか。
大学ではすっかり前田くんの友人格になっていたから忘れていた。
それでも納得いかない表情の何人かの女子はヒソヒソ耳打ちしあっていた。
一気に大人っぽくなったクラスメイト達の中にいても前田くんはかっこよかった。
キラキラしていて、やっぱり自然に目で追ってしまう。
それは他の女子も同じなようだった。
「ねー、岩瀬さん、前田と同じ大学なんだよね?前田って彼女できた?」
「いないはずだけど…。」
前田くんの情報を他の女子に伝えるのはなんか嫌だった。
でも派手な女子達に苦手意識があってなぜか逆らえない。
そんなこと知る由もない女子達のテンションは上がった。
「そーなんだ!前田の彼女は綾ちゃん以外許されないみたいなとこあったけど、綾ちゃん今オーストラリアだし前田の彼女立候補してもいいのかなーなんて。」
冗談ぽくは言っているけど本気なのがダダ漏れなのは、秋川沙耶という女子。東京の大学に進学したのに張り切ってこのクラス会を企画した子だった。
綺麗な見た目だけど、綾ちゃんとはまた違う大人っぽい雰囲気の女子だった。秋川さんは前田くんとの再会目的でこのクラス会を企画したのかな。
というか、綾ちゃん、オーストラリアに行ったんだ。
前田くんは知ってたのかな…と気になった。
前田くんはこの時まだ綾ちゃんを好きだったと思う。大学で綾ちゃんみたいな背格好の子がいると必ず目で追っていることを私は気づいていた。
本人すらそのことに気づいていないかもしれないけど。
いつも見ている私にとってはわかりやすいとすら思えた。
誰が相手でも無理だよ。
綾ちゃん以外は。
私だって綾ちゃん以外の彼女、認めたくない。
前田くんは綾ちゃん以外の人とは付き合わない。
そう信じていた私の期待は裏切られた。
ずっと前田くんを見てきて、その頃は友達扱いもしてもらえるようになっていたから前田くんのことは前と変わらず把握していると思い込んでいた。
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